JAIST 北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス系物質化学領域 松村和明研究室 Weblog

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Mark論文情報2016.7

D3のSana Ahmedさんの論文がNanoscale誌に受理されました。

Enhanced Protein Internalization and Efficient Endosomal Escape Using Polyampholyte-Modified Liposomes and Freeze Concentration

論文のGAです。

細胞質内へのタンパク質の送達手法の提案です。溶液を凍らせた際に
氷晶が溶質を排除しながら成長していくため、残存溶液中の溶質の
濃度が高まるという、凍結濃縮という現象があります。ジュースを
凍らせると、透明な氷の部分と濃い溶液の部分に分かれるあれです。
細胞は、氷の結晶を避けて残存溶液部分に存在します。
従って、細胞は濃縮された相に存在するため、そこに必要なタンパク
質も濃縮されるため、細胞膜付近に集積します。タンパク質を、
細胞膜と親和性の高いキャリアと複合しておくことで、解凍後の細胞
の能動な取り込みを促進することで、送達効率を高めることに成功し
ました。
さらに、両性電解質高分子を固定化しておくことで、エンドソームか
らの脱出も起こり、取り込んだタンパクが消化されずに細胞質内にき
ちんと送達出来る事を示しました。今後は遺伝子導入などにも利用
出来ると期待されます。

今回の論文は提出してから採択が決定するまで、8ヶ月もかかり
ました。私の経験上最も苦労した論文の一つです。
論文を雑誌に提出すると、まず編集者が査読に回す価値がある
かどうかを判断し、ここで落とされる場合があります。査読に
回った場合、査読は複数の同業の研究者が行いますが、やはり
ここで落とされる場合と、修正を依頼される場合があります。
文句なしに受理ということは滅多にありません。

今回は追加実験と、Introductionを含めて大幅な書き直しを
要求されました。いつもこの修正と査読者への回答というのは
神経を使う大変な作業ですが、今回は修正のおかげで自分でも
内容がだいぶ良くなったように感じました。
よい査読というのは論文の質を高めてくれるのですね。

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